レバノンの歴史家Kamal Salibi（1929～2011）が1988年にロンドンのI.B.Taurisから発表した「Conspiracy In Jerusalem：Hidden Origins Of Jesus」の2007年に再販されたペーパーバック版「Who Was Jesus？ Conspiracy In Jerusalem」です。序文で著者は1985年に発表した「The Bible Came From Arabia（聖書アラビア起源説）」について、旧約聖書の専門家から怒りと非難を受けたが誰一人として私が間違っているという物的、状況証拠を示した者はいなかった。そこで改めて旧約聖書のイスラエルは西アラビアにあったという前提で福音書や関連聖典を精読しイエスの本当の姿を調べたと述べている。



彼の主な結論は、

①イエス（Yeshu Bar Nagara：大工の息子又はナガラ家・族のヤシュウ）はメッカの近郊のターイフの東方に現存するAl-Jalil（Google Mapで確認可能、パレスチナのAl-Jalilと同名、当時のアラム語ではガリーラー）出身のイスラエルのダビデ王の系統の人物。彼の使徒達もその近辺の出身者。（パレスチナの人々からはイエスやその仲間は訛があるから直ぐ分かると言われた：マタイ26章：73）　

②コーランで言及されているイエスは、紀元前4世紀頃西アラビアでモーゼの弟アーロンの系統の預言者として従来のユダヤ教と違った新しい教えを広めていたイーサー（عِيسَى ٱبْنُ مَرْيَمَ：ʿĪsā ibn Maryam）で、その母はマリアで未婚の母であった。（ヤシュウもイーサーもギリシャ語読みではイエス）

③キリスト教の実質的な創設者・伝道者であったパウロはイエスの死後、ダマスカスで天からのイエスの声を聞き改宗するが、イエスの弟ヤコブや使徒達が布教活動をしていたエルサレムには行かずアラビアに行った、エルサレムに行ったのはその3年後。（イーサーが作った福音書を求めてヒジャーズに行ったと思われる）



出品の本は、2010年頃に購入したもので、鉛筆による書き込み等は消しましたが、イエローマーカーは所々に残っており、それなりの使用感はあります。

本のサイズ等：縦20.0㎝　横12.8㎝　厚さ1.5㎝　重量214ℊ　ページ数200頁