ア－サ－王と聖杯の物語 サトクリフ・オリジナル２
ロ－ズマリ・サトクリフ、山本史郎
原書房　2001 初版

いにしえの予言によると、聖杯ー森の彼方の光ーには、世に最高の騎士のみがちかづけると、いわれていた。冒険と探求の物語。カーネギー賞受賞作家が描く歴史ファンタジーの傑作。

サトクリフ，ローズマリ
豊かな物語性と巧みな構成力、詩的な文章で彩られた魅力的な登場人物などで第一級の歴史ファンタジー作家として、世界的にも有名である

ガラハッドとランスロットという父子の対比を軸に、円卓の騎士たちの聖杯探求の冒険が語られる。その意味で、人のライフサイクルにおける、青年期から中年期に至る物語として読むことができる。ランスロットは、あれ、中年期のアイデンティティクライシスだよな。あと、キリスト教とケルトの信仰が融合した話だというけど、人生とすごく一般的な意味での宗教的な経験の関係を考えるうえでも有効かも。ケルトとキリスト教の融合は、日本の神話が中世において仏教化される感じを思い出させる。信仰の習合の諸相を感じることができるかもしれない。

かつてローマン・ブリテンに君臨していたと言われる伝説の王アーサー王とその部下である円卓の騎士の冒険をローズマリ・サトクリフが再話。イエス・キリストが抱いたと言う聖杯を追い求める冒険の、困難に満ちた道のりを様々な騎士達が必死で乗り越えて行くその様は、切なさを催させる。誤解から生じる同士討ちの多いことよ。残念でならない。読みやすく、聖杯物語の概要をつかむには大変よい。（レビューより）

単行本
絶版　希少本

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