文豪図鑑
開発社　編著
自由国民社
定価: ￥ 1400+税
A5 判/ 160ページ

あの名作を残した文豪たちの、愛すべき素顔がここに明かされる!

わが国近代の文豪25名に加え、歴史に残る明治以前の文豪や、海外の有名文豪も勢ぞろい。
人間味溢れる素顔から、代表作のあらすじと解説まで、バッチリわかります!

目次
明治の文豪（夏目漱石/森鴎外/島崎藤村　ほか）
大正の文豪（芥川龍之介/谷崎潤一郎/志賀直哉　ほか）
昭和の文豪（太宰治/宮沢賢治/三島由紀夫　ほか）
明治以前の文豪（紫式部/清少納言/
紀貫之/松尾芭蕉　ほか）
海外の文豪（ドストエフスキー/トルストイ/フランツ・カフカ　ほか）


✦大正時代の文豪　谷崎潤一郎
　 谷崎潤一郎といふ人物
✑「細君譲渡事件」が社会問題に！
最初の妻・石川千代との結婚前につきあっていたのは彼女の姉。しかし、夫がいたため、彼女の勧めで千代と結婚したのだが、奔放な姉に対し、千代は従順な幼な妻。そこで潤一郎は刺激を求め不倫を繰り返した挙句、妻に同情した親友の佐藤春夫に「それなら君が貰ってくれ」と告げる。佐藤が千代との結婚報告を、潤一郎も連名にして新聞に掲載したため世間では「細君譲渡事件」として大騒ぎに。

✑魔性の娘・ナオミのモデルは元嫁の　
　妹！
実は石川姉妹に関するエピソードはまだ終わらない。潤一郎の代表作『痴人の愛』に登場する小悪魔的美少女のナオミにはモデルがいて、それが千代の妹のせい子。千代との結婚後に養女として迎えたのだが、せい子が美しい女性に成長すると潤一郎のイケナイ欲望が爆発してしまう。ちなみに、せい子は葉山美千子の名前で女優デビュー。潤一郎は結婚を申し込んだが、あっさりフラれてしまう。

✑『源氏物語』の現代語訳に励む
作品のテーマは愛欲。女性崇拝を根底に、マゾヒズム、エロティシズムに満ち、描かれる物語は三角関係、不倫、禁忌の愛など強烈なものだった。しかし、その一方で潤一郎は古き良き日本文化を愛する芸術的なこだわりも強く、高校時代、洋装の学生服を着用せず袴を履き和服姿を貫いていた。戦時中、『源氏物語』現代語訳の執筆に力を注いでいた際には、部屋の内装を平安朝風に飾っていた。

✑文豪の名言・名文
私にとりましては芸術のためのあなた様ではなく、あなた様のための芸術でございます。(ラブレターより)


美品