シューマン 2枚組

disc 1

①交響曲第１番変ロ長調 op.38『春』

②交響曲第２番ハ長調 op.61

disc 2

③交響曲第３番変ホ長調 op.97『ライン』

④交響曲第４番ニ短調 op.120



指揮：デヴィッド・ジンマン

チューリヒ・トーンハレ管弦楽団

2003年録音



シューマンの交響曲に新しい光を当てた演奏です。オリジナル楽器奏法も取り入れて、メリハリの効いたシューマンを聴かせてくれます。きびきびしたリズム感で、軽快に弾むような進行は爽やかささえ感じます。それでも、錯綜する狂気に立ち止まるような部分もあり、やはり一筋縄ではいかないシューマンの魅力も表現しています。



ジンマンの演奏を魅力的にしているのが、いつもながらの鋭利なフレージングと、生き生きと躍動する弾力的なリズムの扱い。ダレたりノッペリしたりする部分がまったくなく、きわめてテンションの高い演奏は、聴いていて実に快適です。細部にいたるまで解像度高く収録された録音の優秀さも特筆すべき。残響の質もかなり良く、ソロとトゥッティのバランスが自然なため、決してうるさくなることがありません。



本来古いスタイルであるはずのオリジナル楽器によるピリオド奏法が、むしろ新鮮に感じられる。当時の奏法や語法と現代のオーケストラを融合させることで、新しい演奏スタイルが生み出している。それがジンマンの音楽だ。テンポは軽く、往年の巨匠たちの重厚壮大な演奏とは一線を画している。それなのに響きは温かい。ピリオド奏法によくあるギスギスしたイメージはまったくない。鋭角的なリズムで音を刻んでいくのではなく、あくまで軽快さを維持しながら、フワリと包み込まれるような響きの快さを聴き手に届けてくれる。懐かしい友人に出会ったような、そんなシューマンの表情が描かれている。「春」の柔らかいトーンや「ライン」のナチュラルさがじつに心地よい。



輸入盤、盤面傷なし 9

プラケース少しすれあり



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