のえんどうと１００にんのこどもたち 甲斐信枝　福音館書店

(こどものともコレクション2011) 単行本 – 2011/2/2



ある丘の上に、いっぽんのノエンドウが立っていました。春のある日、ノエンドウは100人の子どもを生みました。ノエンドウの子どもというのは、さやの中の小さな豆粒です。太陽の光をあび、子どもたちはすこしずつ大きくなっていきます。子どもたちは早く外の世界を見たいと思いますが、お母さんにもっと大きくなってからと言われ、子どもたちは待ちます。そして、春が終わるころ、子どもたちはパパーンとさやが割れると、外の広い世界にはじけとばされていきます。この絵本で擬人化したノエンドウは、カラスノエンドウです。作者の甲斐信枝さんは、草の絵本を作るたび、さほど目立たないカラスノエンドウのスケッチを重ねてきたことによって、この草にひとしおの心をかけずにいられなくなったとのことです。また、カラスノエンドウと呼ばずにノエンドウとしたのは、この仲間の植物を昔はノエンドウと呼んだと聞き、ことばのやわらかな響きが好ましく、物語に似つかわしく思われたということです。多くの植物絵本を作られてきた作者の植物ファンタジーをお楽しみください。