ブラームス

①交響曲第1番ハ短調 作品68

②悲劇的序曲 作品81



指揮：ヘルベルト・フォン・カラヤン

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音：1959年①、1961年②



カラヤンといえばまずベルリン・フィルですが、名門ウィーン・フィルとも生涯深い関係を築きました。しかし、1950年代から60年代にかけて、そのウィーン・フィルはイギリス・デッカの専属であったため、カラヤンはこの愛すべきオーケストラとの録音をドイツ・グラモフォンではなく、イギリス・デッカと行いました。結果残されたものは、どれもが名盤と呼ぶにふさわしいもので、LP発売以来、長らくファンに愛され続けてきました。



カラヤンの語り口が光る演奏。特に交響曲第1番の第2楽章は、上品な響きの中にも、深い味わいがあり絶品。どこがどうだと特に言うわけではないのだが、この不思議な感覚は何だろう。同じウィーン・フィルでもバルビローリやバーンスタインとは異なる。あらためて、カラヤンの実力を知った次第。この時期にウィーン・フィルを振ったカラヤンの演奏は、晩年のの表現とは全く違って 覇気に溢れ、若さがほとばしっているのが伝わってくる。悲劇的序曲も、凄過ぎる！怒涛のティンパニ、うなる重低音、カラヤンの同曲の他の演奏を遥かに凌駕している。



録音がちょっと古い。でもデッカの録音なので音質は悪くない。立派です。今でも十分通用します。オケはウィーン・フィルです。ベルリン・フィルではありません。ウィーン・フィルはやはりくせ者の集まり。ヴァイオリンの音が一番典型的なんですが、一本に聞こえて来ないんです。人数分の音が聞こえる。個々の奏者がくせ者ぞろい。ひとりひとりが自分の音色を主張している。だから人数分の音が聴こえます。集団ではなく、個人の集まり。これがベルリンフィルとの大きな違い。おそらくカラヤンも、この違いを楽しんだと思う。第4楽章のヴァイオリンの音が聴こえて来ると、あの甘味なメロディに今でもゾクゾクします。ブラームスの叙情の世界に引きずり込まれます。ウィーン・フィルの個性を楽しみながら聴くと、たいへん素晴らしい演奏です。



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