蛍光ペンマーキングあり。本書の書き出しは小説のようである。文章が簡明である。1985年に外資に転職して，89年に香港法人社長になった3か月後，社員を解雇しなければならなくなった。



合衆国の金融規制は厳しく，競争激化はロンドンでのドル取引規制がないユーロドルから始まったそうだ。



以下私見。ディリバティブ，ジャンク債等の説明も歴史的経緯が書かれわかりやすい。米国投資銀行では「ドライな取引一件ごとの収益重視の営業。『長期的』とは一年程度のこと」とは驚きだった。



「米国産業のダイナミズムが復活した一つの原因は，経営者に容赦ない能力と実績を要求する資本市場の圧力だろう」とある。



日本の一人当たり GDP が韓国に劣後になったのも納得できる。韓国経済は合衆国資本の存在が大きいのではと思う。



著者が挙げた21世紀の「特権グループ」中のリーマンとクレディスイスは破綻した。モーゲージ担保証券は野村が始め多大な損失を出し紙屑になった。著者が貸付課長時代の貸しはがしのエピソードは凄まじい。



以下私見。最近バフェットがアップル株を手離し，キャッシュを増やしている。そのバフェットが米銀淘汰の時代に日本の金融再生取引委員会に相当する組織の長になっていたと知り，なるほどと思う。



証券の究極は国債と貨幣である。日本の場合，土地資本主義なので不動産証券の暴落が要注意だ。何で起きるのか。逃げ足の早い外資をウォッチングしたいがわからない。



最近の金融エコノミストの悪文は何とかならないのだろうか？