ベートーヴェン

交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』



指揮：レナード・バーンスタイン

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ギネス・ジョーンズ（ソプラノ）

ハンナ・シュヴァルツ（アルト）

ルネ・コロ（テノール）

クルト・モル（バス）

ウィーン国立歌劇場合唱連盟

録音：1979年9月　ウィーン国立歌劇場（ライヴ）



全人的な理念を音楽で表現したベートーヴェン畢生の大作「第９」は、シラーの頌歌「歓喜に寄す」による独唱と合唱を終楽章に置いた革新的な交響曲です。1970年頃から活動の拠点をアメリカからヨーロッパに移したバーンスタインと、ウィーン・フィルハーモニーという名門オーケストラとの幸福な結びつきによって誕生した定評ある交響曲全集の悼尾を飾ったこの入魂のライヴ録音は、1980年度レコード・アカデミー賞大賞に輝いています。「89年のベルリンの壁崩壊記念の第9」との聴き比べも楽しいです。



音楽評論家：宇野功芳氏

「バーンスタイン盤は録音が優秀で、演奏もきわめてメリハリは立っており、フルトヴェングラーでは古すぎる、という方にまっさきにおすすめしたい。どの楽章もカロリー満で、音楽の勢いと緊張感に富み、つねに充実し切ったひびきを出し、音の輪郭がくっきりしているので気持ちがよい。まさに若々しい気迫の勝利だ。それだけに強音部に深みがない場合があり、ときに力ずくの感じはしなくないが、この圧倒的な演奏効果はさすがバーンスタインである。」



ウィーン・フィルとの黄金時代を飾る第９の名演です。入りが遅く、徐々に力強さを増して爆発していくような演奏スタイルはバーンスタインの大きな特徴の一つであり、面白さもあります。時に力みも感じられますが、あくまでも自然体で合理的な解釈に感じられるのが素晴らしい。ベートーヴェンにもロマン的な解釈を適用し、スケールの大きさを最大限に引き出すことに成功、終楽章は感動的な名演であり、ギネス・ジョーンズのソプラノの美しさが断然光っています。合唱の盛り上がりも最高で、コーダになだれ込むの瞬間は最高の快感です。これぞ最高のベートーヴェンと自ら訴えるかのような名演です。



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