「薮の中・羅生門」

藪の奥で一人の男が死んでいた。名は金沢の武弘。妻真砂は姿を消し、盗人多襄丸が捕らえられた。三人の当事者と目撃者たちの証言はことごとく食い違い、真相は謎に包まれたまま…『今昔物語』を題材としながら知的心理劇を巧みに創作し、話題の映画「ミスティ」の原作としても注目の「藪の中」他、「羅生門」「鼻」「芋粥」を収録した、芥川文学の代表的短篇集。



著者：芥川竜之介

（1892-1927）東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。

その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925（大正14）年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。



出版社:角川書店 (1997/4/1)

文庫:125ページ



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