落合・吉薗秘史［6］活躍する國體参謀

一部のファンだけが密かに読み続けていた『落合吉薗秘史シリーズ』幻の続編
（以下、本文より）
　もはや杉山茂丸の素性を明かさねばなるまいが、茂丸は福岡藩主黒田長溥の実子で、島津重豪の実孫に当たる。実子茂丸を杉山氏（竜造寺氏の男系）に籍に入れた長溥が、藤堂家から養子を迎えて黒田家を継がせた深謀遠慮については、本稿にこれを説く紙面がない。
　ともかく、孫文が常に傍に伴っている辰吉郎を「日本皇子」と称したことで、孫文に対する清国人の信用が高まったのである。
　すでに清朝の末造にあたり、清国内では満族と漢族の相克と分離が進んでいた。日清戦争は、満族が日本を利用して漢族勢力と戦った八百長戦争のきらいがあったが、満洲皇族はいまさ日本を頼ってはいなかった。
　ところが日露戦争によって日本の実力を目の当たりに見た愛新覚羅氏は、以後日本に急接近することとなった。この工作は西太后の側近袁世凱を通じて行われたが、東京皇室はもとより、政体の桂太郎内閣も敢えて対応を避けたのは、東京皇室と京都皇統の間に国務分担の密約があり、皇室外交と国際金融が京都皇統の分野だったからである。

第一部　大正九年の満洲任務
　第一章　「周蔵手記」が暴いた贋作疑惑捏造事件
　第二章　大谷光瑞の執拗な誘い
　第三章　佐伯祐三の驚くべき文才
　第四章　周蔵と佐伯の結婚問題
　第五章　周蔵、満洲行を命ぜらる
　第六章　満洲での秘密任務
　第七章　奉天で正義の声をあげてこい
　第八章　シベリア黄金と國體参謀
　第九章　奉天古陶磁との遭遇

第二部　世界史を映すレガリア
　第十章　「奉天古陶磁」の日本渡来

第三部　日本民族とタカス族
　第十一章　日本歴史に現れたタカス

吉薗周蔵関係資料の開示

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