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私の命はあなたの命より軽い

主人公の遼子は妊娠中にもかかわらず、夫はドバイへ半年間の単身赴任を命じられ、遼子は大阪の実家に帰り出産をしす。家族が仲良く暮らす実家は遼子のことを喜んで迎えてくれるはずと思っていましたが、何やら迷惑そう。帰省してからも家の中はなんだかよそよそしく、家族は誰も目を合わそうとしません。遼子が実家を出て上京した3年簡に何が起こったのか？

そうこうするうちに父は去年立てたばかりの新築の家を売りたがり、妹の美和は「こんな家売れない」と断言しますし、職場でも父は浮いている状態になっているという噂を聞きますし、近所の人も何だかうわさ話をしているし…。そしてついに美和が家出します。

だんだん真実が明らかにされてきて、何も知らされていなかった遼子が追い詰められていく過程が上手に描かれており、ページを捲る手が止まらなくなります。ラストは一見ハッピーエンドのように見えますが、またしても火種をにおわしているところが上手です。



震える教室

　舞台は120年の歴史を持つ凰西学園。そこに入学した秋月真矢が本書の主人公です。実は真矢一人では何もできず、同級生の花音とがコンビとなって、2人で手を繋いだら学園にまつわる怪異が見えるという一ひねりある設定です（超人バロムワンかっと突っ込み入れたくなります）。こうして2人で学園の不思議な現象と折り合いをつけていくという連作です。

「ピアノ室の怪」

　新入学し出会ったばかりの花音は「わたし、この学校が怖いの」と言う。2人で出かけたピアノ練習室で見たのは、宙に浮く血みどろの指！これを発端に過去に生徒に起きた過去の悲しい事件にたどり着きますく。

「いざなう手」

バレエ科の生徒・紗代は体型維持のためのダイエットや貧血などに悩んでいる様子だが、真矢と花音の手が触れたときに彼女の足下から伸びた手が見えます。その手が暗示する闇の部分を、ふたりは調べていきます。

　他に保健室の奥のベッドに現れるというずぶ濡れの生徒の怪異、プールに生徒を入れない日の秘密など学園の過去の事件にまつわる秘密が次々に明かされます。