「木曽の最期」は、義仲主従の最期を語るに、その日付を明記します。



「正月二十日、入相ばかりのことなるに、薄氷は張つたりけり、深田ありとも知らずして、馬をざつと打ち入れたれば、馬の頭も見えざりけり。」



「旧暦の正月の二十日、田んぼに氷が張って、入相の時刻、地面との違いは、慌てて馬上から見て、分からなかったんだろうな」と、巡りあわせの悪さを読み取っていたことです。



それは、本文が語る通りなんでしょうが、義仲にとってこの日がどういう日にあたるのか、私はこの本を読むまで、全く理解していませんでした。



「ときに寿永三年（一一八四）正月二十日、義経らが都に攻め入ったその日の夕刻、義仲主従はこの世を去ったのである。」（212ページ）



この日付は、義仲主従の悲劇を、さらに際立たせる意味があったのではないか、と思ったことです。



筆者は京都大学の中世史ご専門の方です。

各人物の紹介の文章は分かりやすく的確で、一流の学者は、真摯に人間を見つめる詩人でもあるのだな、と思いました。

各章ごとの、人物紹介の文章を、一部載せておきます。（15～20枚目）



次の人物が取り上げられています。

清盛、重盛、頼政、文覚、小督、義仲、宗盛、直実、重衡、義経、頼朝、建礼門院。



塙書房から、新書上下2巻で出ている本の、元版です。新書ではカットされた各章冒頭の写真が載っています。



古書店で購入したのですが、所有者の購入日の日付と、表紙カバーをセロテープで留めた跡があります。（写真7・8枚目）。

また、刊行当初からと思われるシワがあります。（写真13・14枚目）



経年のヤケなどはありますが、本文の書き込みもなく、比較的きれいな状態の本かと思います。



古書であることをご理解の上、ご検討ください。



#平家物語　#平家物語の虚構と真実　#上横手雅敬　#京都大学

#木曽の最期