サイズ　径約13.5cm　高さ約2.5cm

明治後期〜大正時代の、とても珍しいミステリアスな図の印判手です。

口縁に小さなカケがありますので、画像にてご確認ください。

瓢箪を腰に下げたキツネが、鋭い目つきで罠に掛かったネズミを見ています。
空にはコウモリが２匹。
三日月が不気味に光っています。

図変わりとして知られるこの図案は、骨董屋さんではかなり高値で販売されていることもあり、なかなか手に入れにくいものだと思います。

一見すると、悪い狐が捕らえたネズミを食べようとしているかに見える図案ですが、これは狂言の演目「釣狐(つりぎつね)」のワンシーンです。

 狂言には「猿に始まり、狐に終わる」という言葉があるようで、これは「靭猿」という演目の猿役でデビューした狂言師が、「釣狐」の狐役を演じられたら一人前として認められるという意味なのだそうです。

(釣狐のあらすじ)
猟師に一族を殺された老狐が、僧に化けて猟師のもとへ行って、狐釣りをやめるよう話をつける。その帰り道、罠の餌である鼠の油揚げを見つけ、我慢できずに狐に戻って出直そうとする。僧の正体に気付いた猟師は罠を仕掛けて待ち受け、戻って来た狐は罠に掛かってしまう。でも最後はなんとか逃げ出せた。

という、ちょっとドジな狐のお話です。

単色の印判も素敵ですが、色が挿してある印判は、絵本の1ページのようです。
ススキや萩なども描かれていますから、秋の一幕ですね。

金継ぎ用にいかがでしょうか。





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