「空白の日記」

Recheis Käthe / 松沢 あさか

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　得体のしれないナチスの影におびえる、少女レナが住むオーストリアの農村の人びとを描いた自伝的作品です。第二次世界大戦の直前、ヒトラーが率いる隣国ドイツに併合されたことによって、豊かな自然に包まれた村の暮らしは一変します。密告をおそれるあまり、思ったことを自由に言えなくなっていったのです。重苦しい空気の中で、それまで培ってきた温かい人間関係を、どうにか保とうと努力し、煩悶するレナや村の人びと……。そんな人びとが、やさしい心を注ぐ動物たちの躍動する姿も、この本の読みどころのひとつです。　ケーテ・レヒアイスは、数多くの児童文学賞を受賞している現代オーストリアを代表する作家です。彼女はこの作品を書いたときのことを次のように語っています。「忌まわしさのあまりに、記憶の底に沈めた恐怖の体験を細部まで呼びおこし、パッチワークのようにつなぎあわせました。心がしめつけられる作業の中で、当時、わたしは人間性への信頼を捨ててしまったわけではなく、人間らしい生き方の可能性を信じていたことをはっきりと思い出しました。そして、その希望が生きる力を与えてくれていたのです。」



★1997年初版。カバーにヨレ、スレがあります。その他特に目立つ汚れや傷みなどありません。見た限り、本文に書き込み・マーカーなどはありません。全体として良好な状態です。

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