平成12年　99ページ

はじめに
天長十年(八三三)、円仁は、奥比叡の横川に草庵を結び、如法に書写した法華経八巻を一基の宝塔に納め、鄭重に十種の供養を営まれました。いわゆる「如法写経」と「如法塔」のそもそもの濫勝である。 降って十二世紀のはじめ、藤原清衡公が中尊寺建立に当って、まず山頂に建立した「一基塔」は、まさにこの「如法塔」であるし、続く歴代諸公が、途絶えることなく相次いで営んだ写経作善の数々は、紛れもなく開山大師の「如法写経」精神の尊い継承の遺宝である。中尊寺は、開闢以来「写経の寺」をもって草創の古風、本来の寺観とするのである。

開山一一五〇年に際会し、新讃衡蔵の落慶を記念して、ここに全国著名の「装飾経」の 示を献じて、「信の美」企画展の幕を開くことができたことは、「写経の寺」中尊寺にとって、 この上ない慶びである。

当山の誇り国宝「金銀交書一切経」をはじめ、わが国有数の装飾経を一堂に集めたこの豪華絢爛たる展示をご高覧の上、美しい和様の字体のみならず、扉絵文様・料紙・軸・紐の隅々にまで注がれた細やかな日本の美意識をじっくりと味わい、書写に祈り籠められた信の結晶 美に心を澄ませていただければ幸いである。

この企画展のためにご協力を賜った社寺・博物館・美術館ならびに所蔵家や有志の各位に、 心からの感謝を申し上げ、開幕のご挨拶といたします。
中尊寺学名 千田有信
体の外

中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。表紙小傷。
もちろん読む分には問題ありません。42591新

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。