ぽちぶくろ
著者　貴道裕子
発行　スーパーエディション
発売　文京書房
中川一政題字/緒形拳跋文/永六輔・榊莫山・辻村ジュサブロー・エッセイ
1992年1月20日発行
14000円
サイズ　カバーつけて
たて26横25.6厚み3センチ

ケースはしみよごれあります
本体は未使用ですので、薄い紙のカバーを外せば、若干日焼けはありますが、きれいな状態かと思います。

江戸が育てた文化財

ぽちぶくろというのは、いわゆる御祝儀袋である。折った紙幣あるいは銀貨を入れて、手渡すので、この金銭の贈与には、熱いまごころがこもっているのである。
江戸のデザインの中でも、このぽちぶくろは、じつに様々な着想から、数知れぬほどゆたかな 作品を生んだ点で、際立っている。
誠意をもって丁重に差し出す御祝儀に、花を添える気持で、意匠のすぐれた袋を用いるのだが、 その中味を頂戴したあと、到底棄てるにしのびないその袋は、大切に手箱にしまって保存された のであった。
しかし、実用と別に、異様なまでに発展するのが、こういう文化的な日用具で、つねに行われることであった。
ぽちぶくろをシリーズとして考えることが、繪描きと版画師との連繋で、はなばなしくはじめ られ、六枚一組、十二枚一組といった袋は、やがて数奇者の蒐集の対象となってゆくわけだ。 その袋の展示を見ると、江戸の風土が育てた独特の色彩と構図が示されていて、たのしくなる。 雰囲気は多分にユーモラスで、俳諧の精神をも感じさせるのである。
見てゆくと、ひとつひとつに、趣向のおもしろさがあって、巻きさせない。
~一部抜粋~
(日本藝術院会員・演劇評論家)
戸板康二

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