①ショスタコーヴィッチ:ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35

②ハイドン：ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII: 11



マルタ・アルゲリッチ (ピアノ)

ギィ・トゥーヴロン(トランペット)

指揮:イェルク・フェルバー

ヴェルテンベルク室内管弦楽団

録音:1993年



あらためてアルゲリッチの天才を見せ付けられる名盤。ショスタコーヴィチ最初の協奏曲となったピアノ協奏曲第1番は、ジャズなど軽音楽の様々な要素を採り入れて、土台となっているロシア的なピアノ協奏曲の形式そのものをパロディ化した痛快な作品。トランペットも独奏楽器として大活躍します。アルゲリッチの躍動的な演奏はこの曲の代表盤と言えるでしょう。



ハイドンが亡くなって97年後にショスタコーヴィッチが生まれました。もっと年代が離れているような気がしますが、ちょっと意外です。この二人のピアノ協奏曲のカップリングです。ショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲は、交響曲とも、弦楽四重奏曲とも、ピアノ独奏曲との異なる曲想で、遊び心満点、リリシズムもあり。ハイドンのピアノ協奏曲はモーツァルトのピアノ協奏曲にも負けない爽やかな佳曲です。アルゲリッチは1980年に弾き振りで録音しており、本盤は13年後の再録音になります。どちらも甲乙つけがたい名演です。2017年刊行の名曲名盤500では、①②ともに第1位に選定されています。



アルゲリッチのショスタコーヴィチは、2006年のルガーノ・フェスティヴァルでのライブ演奏があり、これはピアノ、トランペット、弦楽奏が一体となった、燃え盛るような火の玉演奏で、やたら興奮した記憶があります。そのに対して当盤はアルゲリッチのピアノの妙を味わう演奏。一言でいうと冗談かと思うような曲でありながら、ピアノの技量をこれでもかって味わえる曲。まあそんな曲をアルゲリッチが暴れまくる。特に第4楽章なんてすごい。2曲目はハイドンの「ピアノ協奏曲 ニ長調」。アルゲリッチというとロマン派以降というイメージがありますが、古典も秀逸。この人なんでもできるってこと。優雅に上品に、持って生まれた感性の鋭さ、感情の抑制が効いた名演。



輸入盤、盤面傷無し 11



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