「塚本邦雄（1920–2005）は、日本の歌人として知られ、その作品は象徴的で難解な表現と、現代的な感覚を持つことで知られています。「荊冠伝説（けいかんでんせつ）」は、塚本邦雄の詩歌の中でも代表的な作品集のひとつです。



内容と特徴

「荊冠伝説」は、キリスト教の象徴や神話、歴史的なモチーフを背景にした短歌集です。そのタイトルは「荊冠（いばらの冠）」、すなわちイエス・キリストの受難を象徴する冠に由来します。このタイトルからも分かるように、宗教的なテーマが作品全体に深く関わっています。



象徴的な表現

塚本邦雄の作品は、一見すると難解な象徴やイメージで満ちています。「荊冠伝説」でも、聖書的なモチーフ、歴史、宗教、美術といった多様な要素が絡み合い、読み手に豊かな解釈の可能性を与えます。

宗教的テーマ

キリスト教的な受難や救済、神秘的な感覚が作品の根底にありますが、必ずしも伝統的な信仰に従うものではなく、独自の解釈や再構築が行われています。

美的な言語の追求

塚本邦雄の短歌は、伝統的な定型短歌の形式に則りながらも、極めて個性的で現代的な語彙や感性を持っています。「荊冠伝説」では特に、華麗かつ鋭い言葉遣いが際立ち、読者を強烈なイメージの世界へ誘います。

耽美的要素

「荊冠伝説」には、耽美主義的な美意識が色濃く反映されています。死や苦しみといったテーマが、美として昇華される独特の美学が感じられます。

代表的な歌の例

以下は「荊冠伝説」収録の歌から一例を挙げます。

『薔薇は罪　光源氏は影に坐す　荊冠伝説にこぼつ油灯（あぶらひ）』

この歌では「薔薇」と「光源氏」という日本文学の象徴が用いられ、さらに「荊冠伝説」というタイトルが直接登場します。重層的なイメージを持ちながら、読者に鮮烈な印象を与えます。

影響と評価

「荊冠伝説」は、塚本邦雄の作品の中でも特に評価が高く、彼の独創的な詩歌世界を象徴する作品とされています。現代短歌の革新を象徴し、多くの歌人や文学者に影響を与えました。（ChatGPT）





集英社・１９７６年８月初版発行の塚本邦雄「荊冠伝説」函・帯付きです。経年のヤケも少なく、シミや書き込み、蔵書印などもありません。

４８年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。