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川の深さは

新興宗教の神泉教が起こした地下鉄爆破事件の公判がマスコミを賑わす日本。マル暴の刑事だが事件を起こして失職した40代の桃山剛はビルの警備員として無為な日々を送っていた。ある日ビルに逃げ込んできた若い男女・増村保と須藤葵と出会い重症を負っていた保を匿うことになる。どうやら保は明晰な頭脳と強力な戦闘技術を有し、葵を守ることを任務としているようだ。桃山は協力するのだが、2人は姿を消す。2人を追う桃山は、やがて神泉教の隠された真実と、保と葵の過去に行きつき、福井お得意の内閣調査室、公安だ、防衛庁、警察、北朝鮮工作員が入り乱れて、終盤のスペクタクルな戦闘シーンに突入します。軍事用ヘリ・アパッチで『こんごう』に挑むなどデューク東郷でもイーサン・ハントでもありえない『亡国のイージス』『終戦のローレライ』モードの展開には噴飯ものですがが、本小説の本筋は桃山と保を中心とした人間ドラマなのでこの素晴らしかに免じて許しちゃいます。はっきり言ってイチ押しです。



戦国自衛隊1549

歴史改変モノの祖「戦国自衛隊」の続編的作品を福井が手掛けた。元版のアイデアだけ寸借し、全く別物のまさに福井的「戦国自衛隊」となっています。リメイクはこのくらい破壊的でなければね。

オリジナルの半村版は、戦国時代にタイムスリップした自衛隊部隊が、戦国という時代でどう生き延びていくかの話しであったのに対して、福井版は先に戦国時代にタイムスリップした部隊を連れ帰り、歴史の歪みを元通りに直そうとする作品。福井版にはSF的な不合理もいくつかありますがそれを無理に丸めこもうとする新工夫があります。

話はそこそこ面白かったし、リメイクするならこの位破壊的にしなくちゃねという、福井の男気が見えて好感度が高い。