1980年代に楽器店から購入したワンオーナー品で、上下ヘッド以外は全てオリジナルです。
メッキには艶が有り保存状態は良好です。
この年代のメッキスネアは一見キレイに見えても良く観察すると、細かい磨き傷が有る個体が多いですが、このS-314Dは磨き傷も殆ど有りません。

S-314Dは10テンション、1mm厚スチールシェル、14ｘ6.5インチ深胴、全面当たりスネアワイヤー（スナッピー）、両サイド２ヶ所スネアワイヤーの位置とテンション調整機能付きスイッチ、インナーミュート（インナーマフラー）を備えています。

全面当たり機能は、スネアワイヤーがヘッドのみだけではなくフープにも接触するタイプで、ピアニッシモなどの繊細な演奏でも反応が良く、ボトムヘッドの共振を妨げにくい構造なので、打音の強弱によるスネアワイヤーの響きに拘りがお有りの方にはお勧めです。
スネアワイヤーのテープガイドにはスプリング付きのスネアワイヤー高さ調整機能が備わっています。
この機能はスネアワイヤーとボトムのとの接触圧を調整したり、スネアワイヤーにかかるテンションを調節したり、スネアワイヤーテープの位置を一定に保ったり、打面を叩いてスネアワイヤーが共振した瞬間の動きに影響しています。
スネアワイヤーの左右位置調整は、２ヶ所の調整機能によってノブ操作のみで簡単行えます。
これら上下左右の位置調整機能によって、微調整と調整後のスネアワイヤーの反応は良好です。

インナーミュートは、シェル側面のノブ操作で簡単にヘッドの振動加減を調節できます。

フープはスチール製トリプルフランジで、トップの部分は一般的に多い外側に折り曲げ（外巻き）たタイプです。厚さはテンションボルト付近の実測値で2.0-2.1mmです。

ストレイナー・スイッチを含む可動部は全て良好に作動します。
スチール独特の倍音・響きが特徴的なスネアで、加えて6.5インチの深胴を採用している為、音質は明る過ぎず音量も充分です。
通常はやや高めのミドルピッチのチューニングで、バラードではインナーミュートを強めに加えてローピッチっぽい音で変化を加えたりしていました。
反応が良い全面当たりスネアワイヤーによって、インナーミュートを打面に加える圧と、スネアワイヤーの響きの強弱の組み合わせを楽しめるスネアです。

日本製