①ブラームス：バラード集op.10（全4曲）

②ウェーバー：ピアノ・ソナタ第2番変イ長調op.39



アルフレッド・ブレンデル(p)

録音：1989年11月



ブラームスのバラード集といえば、グールドやアファナシエフの名盤が思い浮かびますが、このブレンデル盤もそれらの名盤に匹敵する冠絶した名演奏です。グールドやアファナシエフと異なり、テンポはふつうに早く、一聴すればあっさりと上品な表現ですが、聴く者に突きつけてくる世界は、曲の真髄を見事にえぐっています。コントロールはすみずみに行き届き、硬さや表層的な感触はまるっきりなく、自由でしかも情感豊かで深い。この曲が後期のピアノ曲に全く劣らず、名曲であることがよくわかります。ブレンデルの全録音の中でも屈指の名盤のひとつ。



４つのバラードは、ブラームスの若書きの作品ではあるが、ブレンデルの解釈は、晩年の諸作品へのアプローチと何ら変わることがない。バラード集の時間軸を変容させ、独特の呼吸で横の線を異化していく特異な世界があるが、このバラード集に纏わりつく死のイメージをここまで音化した演奏は思いつかない。暗黒面の境界線に佇みながら静かに生者のほうを見つめるピアノを聴かせてくれる、凄い演奏が作品の方向性を作り変えている。同曲を、最晩年の作品に繋がっていく道程と位置づけており、各バラードの解釈は、初めて耳にするような深みを湛えている。



ウェーバーのピアノ・ソナタ第2番は演奏される機会が少なく、CDもほととんどないだけに貴重。作曲当時は高い評判を持った曲だったとのこと。ブレンデルは、少し抑えめの表現によって、ウェーバーのロマンティシズムと恥じらうようなあ優雅な雰囲気がかもし出されていてとても新鮮。ブレンデル自身がこの作品について、かなりの字数をついやして解説文を書いているので参考にしたい。ブレンデルのこの曲にたいする偏愛？ぶりが感じられて興味深いです。



国内盤、帯無し　

盤面うすいすれありますが再生問題無し

CD本体の内周部分に緑色ペイントあり(音質向上目的）



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