「自転しながら公転する」
山本 文緒

#山本文緒 #山本_文緒 #本 #日本文学／小説・物語

※こちらの作品は他者様からお譲り頂きました。読了しましたので出品します。カバーをつけて読んでおりました。

季節や風景の描写が素敵だと思った。時間経過がわかりやすく、服の描写も相まって爽やかな印象が残る。

都にあまり共感できなかった。もちろん恋人への価値観の不一致に対する不平不満不安は共感できる部分であったのだけれど…(ほんとに一回実家をでて自立した生活を送ってたのか？と思えるような幼稚な行動は共感できなかった。後半遠方に行くことになった経緯はわかるけど過程と結末なんて…)でもその後の結末は雨降って地固まるってことなのかな。

寛一は諦めることに慣れすぎたんだ思う。本人無自覚でちょっと狡いし、タチが悪い。でも、良い奴。

自分のことに関しての価値観の変化は生存するための適切な現象だと思う。でも他人、ましてや自分の大切な人への価値観てなかなか変えられない、それがとても難しいのだということをすごく丁寧に描写されていた。

意外と母親の方が自分のことをよく分かってて良かった。
個人的には後輩の子がどうなったか気になる。
この話のプロローグとエピローグは蛇足派。

色々書いたけど、読んでよかった作品です。
作者が亡くなっていたことをあとがきで知って、作者の今後の作品を読めないと思うと残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。