《稀少本》
「鎌倉百人一首」を歩く
尾崎 左永子 / 原田 寛
定価: ￥ 1000+税

「鎌倉」、という土地柄は、何か人々の心を引きつける魅力をもっているようである。歴史の事蹟にみちた古都。寺社の多い観光地。文化人たちが好んで住む町。緑の多い山、寂かな谷戸、そして真夏の砂浜。花火大会。しかも、首都圏の端に位置して、東京からの日帰りOKの距離にある。
しかし狭い町だけに、何も知らずに来て、何となく観光して帰ってしまう、という人も案外多いのではなかろうか。またこの土地に心を寄せて移住して来た人たちも、意外に鎌倉について知らないという現実がある。
そこで、古くから鎌倉を詠んできた先人たちの短歌を選んで、もっと鎌倉に親しんでもらおうという試みが、「鎌倉ペンクラブ」で企画されたのは2004年の夏だった。古くは『万葉集』の防人の歌があるし、鎌倉将軍源実朝の歌もある。……
〈はじめに　より〉

実朝が、西行が、子規や晶子らが詠んだ歌を集めた「鎌倉ペンクラブ選鎌倉百人一首」を手がかりに、古都を逍遙してみよう。珠玉の短歌と豪華な写真で綴る、大人のための鎌倉歩きガイドブック。

「鎌倉ペンクラブ選　鎌倉百人一首」は、古今の著名人百人から鎌倉を詠んだ歌一首ずつを選び2006年に発表された。有名な源実朝の『大海の磯もとどろによする波われて砕けて裂けて散るかも』の他にも西行、西田幾多郎、正岡子規、鉄幹、晶子、岡本かの子など古代から近・現代まで綺羅星のような文人や歌人が遺した短歌は、古都の魅力に一層の陰翳を与えてくれる。本書は、それらの秀歌から約50首を選び、悠久の時と人の感性を巡る手がかりとしたエッセイに、鎌倉在住の写真家のベストショットを組み合わせたもの。花と寺巡りの鎌倉逍遙に、これまでにない奥行きを与えてくれるこの本を、大人の指南書として、四季折々に活用していただきたい。「鎌倉ペンクラブ選　鎌倉百人一首」全首一覧つき。

目次
第１章　海際の光景
第２章　寺
第３章　山と谷そして花
第４章　歴史を彩る人々
第５章　川と小路とくらしと

著者等紹介
尾崎左永子［オザキサエコ］
1927年東京生まれ。歌人、作家。日本エッセイスト・クラブ常務理事。鎌倉ペンクラブ副会長。東京女子大学国語科卒業。『夕霧峠』（迢空賞）『源氏の恋文』（求龍堂、日本エッセイスト・クラブ賞）ほか著書多数

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