「JALの奇跡 稲盛和夫の善き思いがもたらしたもの」

大田 嘉仁

定価: ￥ 1600



戦後最大となる2兆3000億円余の負債を抱えて倒産したJAL。その再建が「不可能」と報じられる中、稲盛和夫氏が会長に就任し、京セラから連れて行ったのはたった二人の部下でした。そのうちの一人が本書の著者である大田嘉仁氏です。長年、稲盛氏の秘書を務め、「最も信頼される男」「側近中の側近」として知られる人物です。



本書は、2010年に経営破綻したJALがどのようにして再生を果たし、奇跡的な復活を遂げたのか、その過程を詳細に描いた渾身のノンフィクションです。



稲盛氏が会長に就任するまでの経緯、初めて社内に足を踏み入れた際に感じた冷え切った空気、深く根付いた相互不信……。そのような状況の中で、著者は意識改革を担当し、カリキュラムや教材の作成、フィロソフィの策定などに関わり、わずか5人のチームで3万2000人もの社員の意識改革に取り組みました。



特筆すべきは、着任直後に大田氏の主導で行われたリーダー教育です。「リーダーの意識は一気に変えるしかない」という信念のもと、1日3時間×週4回、計16回ものプログラムが組まれました。その際、稲盛氏は体調が優れない中でも講義に臨み、「血を吐く思いで話をしているので、どうか理解してほしい」と迫力ある姿で幹部たちに訴えかけたといいます。



傷ついた社員たちの心は、稲盛氏の熱意と純粋な善意に触れ、次第に回復し、JALは再生への道を進んでいきました。



稲盛経営哲学の集大成ともいえるJALの奇跡的な再生。なぜ、不可能と言われたJAL再生がわずか1年で成し遂げられたのか？本書は、稲盛氏を最もよく知る著者が描いた貴重なビジネス戦記です。



経営者のみならず、次世代を担う若いビジネスパーソンにも大いに役立つ一冊となるでしょう。