「野心と軽蔑 電力王・福澤桃介」
江上 剛

福沢諭吉の娘婿にして、相場の天才だった男は、
関西電力、中部電力の礎を築き、『電力王』と呼ばれた。

貧しい農家の下に生まれ、
慶應義塾の門をくぐる。

そこで福沢諭吉先生に出会う。

顔立ちも良く、自分を目立たすプロモーション、陰ながらの努力により、先生の娘ふさとの結婚に繋がる。

そして渡米。

そこで培った語学、アメリカの気質を身につけ、帰国。

そして先生の指示(飛ばされた?)により、北海道へ。

後ろ盾に先生がいる、と妬まれる。

それを持ち前の人間力で克服。慕われるようになる。

結核に罹る。

その病床で桃介の相場師と呼ばれる所以の株式投資で一発当ててしまう。

株式投資を嫌う福沢家に、バレる。

ふさに投資を辞める、と誓うも
やっぱりやめられない。

そして丸三商會という貿易会社を立ち上げる。

しかし、融資の約束を反故にされ、
会社は破綻。

相場師との悪名が、ここで桃介の転落を引き起こした。

裏切りは世の常だ、と悟る。

そして元の古巣北海道炭鉱鉄道に再就職。

改めて、勤め人として、
人と向き合うことを試みる。

そして、そこで経営者としての素質も磨く。

これからは水力発電だ、と人生を賭ける。

そして電力王として君臨。

ただ桃介が悟ったのは、
『正直であること』だった。

先生の『独立自尊』から始まり、
それを軸に桃介の物語が組み立てられていく。

ふさと貞奴の話もある。

読みやすい流れ。

華々しい経歴の一方で、悪評も多かった稀代の実業家の生涯に迫る歴史小説。

おすすめ。

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