〈説明文は全て独自で書いております。無断使用はご遠慮下さい。〉

★1979年第5刷発行。函付き。
★函＝経年のスレ傷汚れ有り。函に強めの背ヤケ有
　本体＝三方にヤケシミ汚れ有り。本文ページ内は
　　　　大きなシミ汚れ等無く、製本も確りとして
　　　　おり、通読に支障は御座いません。

　捻くれて可愛げのないヒロイン、今でこそ魅力的！と言われる時代になりましたが、（アダムス•ファミリーのウェンズデーみたいな）1911年の発表当時は、有り得ないタイプだったのです。

　物語の主人公は、押し並べて品行方正、人格円満な子供が当たり前の時代。植民地インドで、絶対に逆らわない乳母に育てられたメリーは、そんな模範的子供の対極に位置する性格です。

　両親からの愛も無く、よって他者への思い遣りも学ぶことが出来ず（ある種のネグレクト）周りにイエスマンの召使いしか居ない環境に子供を置けば、当然暴君になりますよね。

　両親が病死、メリーは英国の叔父の屋敷へ引き取られます。広大な邸内で、夜な夜な、子供の泣き声が聞こえてきて、メリーは探索に乗り出します。

　見つけたのは、背中に瘤があると思い込んで泣いている、病弱な従兄弟のコリン坊ちゃまでした。（この一族は皆お金持ちの癖に、子供を可愛がるという一番大事なことをしない家系なのか？と言いたくなるネグレクトぶり。）

　メリーは、明るく、優しいメイドのマーサや、その弟の自然児ディコンと親しくなり、庭番のウェザースタフ老人とも仲良くなります。

　そして、ある時閉ざされた門を見つけ、秘密の花園をコリンやディコンと作り始めるのでした。

　コリンが段々と健康を取り戻していく姿と、死んだ庭が生き返っていく様子が重なって、美しい世界を創り出しています。

　メリーも、コリンも、捻くれたのは彼らが悪い訳じゃ無く、終盤、気立も良くなります。愛が足りなかったんですね。

　子供達が秘密の花園で食べる食事が美味しそうなんです。ディコンの母さんの、焼きたての田舎風の葡萄パン、新しい牛乳！

　蒸し焼きにした卵やジャガイモに塩バターをつけたもの。晴れた日に花園で食べたらそれは美味しいでしょうね。

　個人保管の大変古い本です。状態は、上記★書きと、画像よりご判断下さい。

　古い本にご理解のある方との、嬉しいご縁を心よりお待ち致しております。