西村賢太　文庫4冊セット

①苦役列車
　新潮文庫　令和4年7刷
　劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、石介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は一。現代文学に私小説が通襲を遂げた、第144回芥川賞受賞の表題作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録する。
　解説・石原慎太郎。

②暗渠の宿
　新潮文庫　平成23年7刷
　貧困に喘ぎ、暴言をまき散らし、女性のぬくもりを求め街を彷徨えば手酷く裏切られる。屈辱にまみれた小心を、酒の力で奮い立たせても、またやり場ない怒りに身を焼かれるばかり。路上に果てた大正期の小説
家・藤澤清造に熱烈に傾倒し、破滅のふちで喘ぐ男の内面を、異様な迫力で描く劇薬のような私小説二篇。
デビュー作「けがれなき酒のへど」を併録した野間文芸新人賞受賞作。

③随筆集　一私小説書きの弁
　新潮文庫　平成23年初版
　落魄の半生を経て、貧窮と性病の果てに凍死した大正時代の私小説家・藤澤清造。その代表作「根津權現裏」に、真の同類を認めた衝撃から歿後弟子を名乗った著者。爾来、清造の偏見払拭と全集の刊行を生涯の務めと決意し、いつしか自身も時流に背いた私小説を書き出すに至った、「師弟」関係の始まりを含む関連エッセイを集成した。「なぜ清造だったのか」、その答えがここにある。

④どうで死ぬ身の一踊り
　講談社文庫　2011年第6刷
　大正時代に極貧の生活を赤裸々に描いた長篇小説『根津權現裏』が賞賛されながら、無頼ゆえに非業の死を遂げた藤澤清造。その生き方に相通じるものを感じ、歿後弟子を名乗って全集刊行を心に誓いつつ、一緒に暮らす女に暴力を振るう男の、捨て身とひらき直りの日々。平成の世に突如現れた純粋無垢の私小説。

表紙カバーにスレ、カバー背の上部に傷みなどの経年変化があります。使用感があります。
④の本文紙の一部に、左上に折れがあります。
古本であることを理解の上、
写真にて十分に状態を確認し、購入をご検討ください。