《稀少本》
洋酒うんちく百科
福西 英三
定価: ￥ 1000+税

洋酒のオーソリティがワイン、ビール、ウィスキー、カクテルなど洋酒のすべてを語り尽くすうんちくの宝庫。
✤酒と文学者・小説―シェイクスピア、ゲーテ、ヘミングウェイ、アガサ・クリスティ、モーリヤック、吉田健一、金井美恵子、イーヴリン・ウォー、マルグリット・デュラス、ジョン・アップダイク、J・D・サリンジャー、E・T・A・ホフマン、…
✤酒と音楽―モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナー、ドビュッシー、ビル・エヴァンス、デューク・エリントン、アストル・ピアソラ、ミック・ジャガー、イーグルス、…
✤酒とセレブ―シーザー、カトリーヌ・デ・メディチ、ナポレオン、トマス・ジェファーソン、ヴィクトリア女王、ビスマルク、…

目次
✦とりあえずの一杯✦セレブリティたちと酒✦文学者と酒✦小説の中の酒
✦スクリーンを彩るカクテル✦酒＆ミュージック✦グラスは酒の衣装
✦海外洋酒事始めメモ✦カクテル誕生エピソード✦酒語俗語アラカルト〔ほか〕✦とりあえずの一杯

…ジョン・アップダイクの短篇集『同じ一つのドア』に「フィラデルフィアの友だち」という好ましい短篇小説があるが、これはワインの知識のあるなしによって、読後感がまるっきりちがってくる作品だと思う。
主人公はジョンという16歳の少年。…
ある日、彼の家庭にフィラデルフィアから訪問客がやってくる。ジョンは、2ドルを渡され、ワインを買ってくるようにいいつかる。だが、酒場にいくと、未成年者に酒を売るわけにはいかない、と断られてしまう。
……。ルッツ氏は学歴こそないが、事業に成功し、ゆたかな暮らしをしている。そして、娘のボーイフレンドにも優しく接してくれる好人物だった。
ルッツ氏は、ジョンの頼みを快諾し、一緒に出掛け、酒屋の前ジョンから2ドルを預かる。そして、一本のワインを買ってきてくれた。赤いビロードのような色をしたワインとたくさんのお釣り銭がジョンの手に渡される。
ジョンは自宅に戻り、玄関に入る時にワインのラベルを眺めてみた。そこには、こう書いてある。「シャトー・ムートン・ロートシルト、1937年」と。
―アップダイクの短篇は、ここでジ・エンドとなる。このワインがいかなるワインなのかはいっさい描かれていない。だが、ワインに関心のある人は……

美品　ほぼ新品