六月に書店にて購入し、紙カバーをかけたまま一読しました。神経質な方はご遠慮ください。

　有名な河村瑞賢の伝記になります。
若い頃、明暦の大火で焼け出され、すでに何人かいた小さな子の一人を失い、店も失くなる。木曽の山奥へ大火の情報が伝わる前に出掛けて、材木を一手に買い付ける商談をする。そこから物語は始まります。当時の木曽の道は、途中、道らしい道もなく、岩場に葛で結わえられた板が渡してあるだけ。冬場は通行できない。そこを決死の思いでなんとか通り抜け木曽の材木を一手に扱う尾張藩木曽代官所の山村家の末弟が取り仕切る上松の屋敷を訪れ、なんとかうまく材木の買い付けにくる人たちの窓口となり手数料を稼ぐ契約を済ませる。

　その後は、大火で焼け出された人々を救いたいと私財をなげうち炊き出しを行い、それだけでは間に合うはずもなく、ときの大政委任 保科氏に駕籠訴に及ぶ。保科氏が話を聞いてくれ、それならば江戸の立て直しを自分で仕切ってみよと任される。
　またもや決死の思いでなんとか商人としての感働きを最大限に使ったりしてうまくやりとげる。保科氏とのパイプも出来、その後は、奥羽の銀山開発、羽州の米の回送のための経路の開拓、大阪平野の水害対策などなど、当人がいかにしていままでにないやり方で、なんとか方法を見つけて初めての難事業を遂行していくのか。そこが主人公の生きる喜びであり、結果、人生の最後まで隠居生活もほとんどすることもなく、仕事を喜びとして生きた。
小賢しい真似は一切せず、世のため人のためになるにはどうするのか。それをやっていると自然に人が集まり金も集まりなんとかなっていく。
韓流ドラマ商道のような生きざまを描ききった大作です。
この機会に是非お読みください。


「江戸を造った男」
伊東 潤
定価: ￥ 800　￥880税込

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