上野千鶴子さんの最新エッセイ集「マイナーノートで」の出品です。
私が読み終えた中古ですが、折れや曲がりのない美品です。
上野さんの人格を象った事柄を書いた「通奏低音」、転調の「インテルメッツォ」、最近のことを描いた「リタルダンド」と、最後に上野さんの親しくしていた方々に対する追悼文をまとめた「夜想曲」の4章が掲載されています。
総ページ数252。
初版発行2024年10月25日。
この冊子は初版です。
ご不在でもポスト投函されるネコポスで発送します。

声高に主張するメジャーノートに対して、生活の大部分を占めるのはマイナーノートでしょうという上野さんの意識から名付けられた題ですが、内容も確かにそうした音色になっています。
この本には2019年に東京大学の入学式で述べた来賓祝辞によって、上野さんの知名度が上がったとあります。
彼女は喧嘩上等で有名なので、薄っぺらい建前は語りません。
建前しか語れない一般メディアの言説にばかり慣れた大衆には新鮮だったのでしょう。
東京大学はスベリ止めで受け合格したけど、遠いから本命の京都大学を選んだ上野さんにとっては大学名よりも学べる環境の方が大事だったのです。
だから後に東京大学教授を拝命したのですから。

上野さんの行為によって、日本の性格差は大分縮小したと思います。
無くなったとは言いませんが。
私も子供の頃から、私が産まれたことで姉がそれまで一身に受けていた両親からの期待を、忍びないほど失ったことを感じていました。
それを申し訳なく思っていましたが、自分にはどうしようもないことで無力感をも味わっていたのです。
理由は単に、姉が女で私が男だったからなので。
あの頃から比べると本当にマシになりました。
少なくとも女性だけが家事を担当するようなCMに違和感を持つ人が意見できるようにはなったので。

この出品のBGMはトーマ・バンガルテル、ギ=マニュエル・ド・オメンリストとエドウィン・バードソングの「ハーダー、ベター、ファスター、ストロンガー」です。
多くの同士を見送ったことで、上野さん自身も残された時間は多くないと考えているようです。
でも人間はちゃんと生きれば300年くらいは生きられるように造られているのです。
実際、過去に300年程を生きた人達は真っ直ぐな生き方をしています。
上野さんもまだまだ生きて、ガンガン働いてもらわないと。