図説聖書の世界2 「モーゼの歩いた道」
モシェ・パールマン＝著
三浦朱門・曽野綾子＝訳
山本七平＝序

カバーに経年変化があります。
天・地・小口にシミ・黄ばみがあります。
中身は概ね良好な状態です。

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長期保管品ということをご理解の上、ご購入お願い致します。
宜しくお願い致します。

序
「シナイ」への共鳴
山本七平
「シナイ！何という名！」
これは聖書の遺跡を広く旅行した作家P・バムの、シナイに関する記述の冒頭の言葉である。無理もない。聖書の民は、この地名を耳にしただけで、一瞬、強い何かを感ずるからである。その名はもはや単なる地名ではない。
なぜであろうか？紅海に突き出た小さな三角形の半島、不毛といって過言でない荒涼たるその地。この程度の土地なら、この地上の到る所で、名もなく放置されている。そこには、いわゆる名所旧蹟はない。誇るべき何かが築かれたわけでなく、大帝国の中心だったわけでもない。では何かの歴史的大事件があったのであろうか。否、有史以来、いわゆる”歴史的大事件"がこの地で起ったことはない。それは、文明の中枢から程遠い辺境、経済的には無価値に等しい、貧しい遊牧民が放浪する岩砂漠、「歴史の舞台」から見てられた地であり、この点では現在も同じである。一言でいえばシナイは、断片的な貴重な遺跡はあっても、人類の継続的な歴史においては空白に等しい地であり、編年史的な「シナイ史」を編むことが不可能な地である。
ではなぜそのシナイが・・・・・・。
イスラエルという名の遊牧の民がここを通過したからであろうか。否、ただそれだけのことなら、そのこと自体が「歴史的事件」と呼び得るものではない。遊牧民がエジプトの辺境に定着したことも、、、、、、（本文より）