◆「ムーン・パレス」
柴田 元幸 / オースター,P.(ポール)
新潮文庫/1997.10発行/2005.2.12刷
定価: ￥ 775

　2024.10.20付日経新聞朝刊の名作コンシェルジュでも紹介されていましたが、オースター作品の中でも印象に残る作品です。

　「月」がキーワードだけど、もしかして・・・「作品名は中華料理店の名前？」と思いながら読み進めると・・・

『「太陽は過去であり、地球は現在であり、月は未来である」ずっとあとになって、僕はこの言葉にもう一度出会うことになる。』

　こんな予言めいた文章が、読者に目指すべき方向を与えてくれるため、「やっぱりここでつながってたか!」と暗示に乗っていく楽しみがあります。

　マーコ・フォッグ、トマス・エフィング、ソロモン・バーバー3人の人生の連関がうまくプロットされた素晴らしい作品です。

　画家ブレイクロックの「月光」という絵をめぐる解釈や5章の洞穴の話など、真に迫った緻密な描写も印象的です。

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