「父と娘角栄・眞紀子の三十年戦争 上」
大下 英治
定価: ￥1,900
発行所:講談社

父のすべてを受け継いだ娘の壮絶な闘い！

父の怨念を背に、圧倒的な人気、天性の表現力、底知れぬバイタリティーで旧態依然の政界に激震をもたらす眞紀子。角栄の総理就任から30年。天国と地獄を味わった父のそばで息を呑む権力闘争を見てきた娘の原点に迫る！

竹下登らの創政会が旗揚げして以来、角栄はひかえていた酒を、浴びるように呑みはじめた。世界の闘将軍として君臨しつづけてきた角栄は、追い詰められていた。眞紀子がかわいく、娘のいうことは絶対であったが、どんなに彼女から酒をやめるように注意されても、まったく耳を貸さなかった。夜は悪夢にうなされ、自分の手で顔や頭をかきむしり、血だらけにしてしまう。それを防ぐため、毛糸の手袋をはめて寝ていた。眞紀子は、父親のその凄惨な姿を、そばで見せつけられていた。
平成5年7月、眞紀子は総選挙に初出馬した。演説で眞紀子は呼びかけた。角栄が政界を去っておよそ4年、聴衆は、声の質も話しぶりも似ている眞紀子に、健在だったころの角栄像を重ね合わせていた。父親ゆずりのみごとなまでの話術に惹きつけられてしまっていた。

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