平岡正明氏の「昭和ジャズ喫茶伝説」植草甚一氏の「古本とジャズ」伊丹十三氏の「日本世間話大系」の3冊の文庫セットです。平岡正明氏の本は、ちくま文庫、2025年発行、332ページ、新品同様です。1960〜70年代にかけての東京、横浜のジャズ喫茶シーンを描いた平岡流世相風俗資料でもあります。巻頭には懐かしのジャズ喫茶マッチ・コレクション・グラビア付きです。植草甚一氏の本は角川春樹事務所・ランティエ叢書、1997年発行、第1刷、ハードカバー仕様、295ページ、少し古い本になりますので、本を閉じた時の表面に若干のシミがありますが、紙面そのものは綺麗です。ジャズとコーヒーをこよなく愛した植草甚一氏は"古本屋街を歩きながら、ジャズ喫茶に入って、買った本をパラパラとめくるのが癖になってしまった"と本の中で述懐しておられます。氏のまるでジャム・セッションのように話が行き交う独特の文章を堪能することができます。伊丹十三氏の本は新潮文庫、平成17年発行、397ページです。直接的にはジャズ・エッセイの本ではありませんが、膝を乗り出すような世間話を集大成したこの本はまさにジャズのインプロビゼーション的な面白さがあります。伊丹十三氏のレコード・コレクションの棚を写真で見たことがありますが、ヴォーカルのサラ・ヴォーンのLPがたくさん揃っていて、その音感のセンス、趣味の良さが伺われました。シミ、汚れなく美本です。ちなみに平岡正明氏と伊丹十三氏の本のイラストは、どちらとも矢吹申彦氏が担当、氏のイラストもJAZZ的でとてもポップ・アートな味わいがあります。合わせて合計3冊の文庫セットです。