中田考・橋爪大三郎「クルアーンを読む　カリフとキリスト」

定価 2,200円



【内容紹介】

イスラームについての本は、書店にあふれている。

本書はそれらと根本的に異なっている。

イスラームにコミットする、内在的視点から議論を組み立てているからだ。



対談者の一人である中田考は、イスラームの研究者であり、ムスリムである。中田氏が本書の中で述べているように、わが国のイスラーム専門家は、ムスリムでない人びとが大部分である。イスラームの信仰をもつ人びとがほとんどいない。このため、イスラーム世界に内在する議論ができにくくなっている。そこで、日本語で書かれたイスラームについての本を読めば読むほど、イスラーム世界についての偏った像を描いてしまう心配がある。



もう一人の対談者である私（橋爪大三郎）は、ムスリムではない。しかし社会学者として、宗教について議論をするときは、その宗教に内在する視点を大事にするように心がけてきた。ある宗教を客観的にとらえるためにも、その宗教を内在的に理解することは、とても大事である。



イスラームに内在する視点は、イスラームに味方するという意味ではない。イスラームの側からものを見たら、世界はどうみえるか、十分に踏まえるという意味である。これはまともな議論の、出発点ではないだろうか。



私にとっての中田氏は、この分野で最も信頼すべき、そして尊敬すべき学者である。中田氏が訳出した『日亜対訳クルアーン』は、大変な業績だ。クルアーン（コーラン）の正確で学術的価値のある翻訳として、長く後世に残る仕事である。『イスラーム法の存立構造』『カリフ制再興』をはじめ近年続々世に出る著作も、他の誰にも書けない貴重な着眼を多く含んでいる。



だから私は、中田氏からじかに教えを乞い、対論したいと願ってきた。



欧米経由の情報はしばしば、無意識のバイアスを含んでいる。それを補正し、より客観的な世界の像を手に入れるために、本書が役立つことを期待する。（橋爪 大三郎「まえがき」より）



【目　次】

まえがき

第一章　クルアーンとは何か

第二章　書物としてのクルアーン

第三章　クルアーンでわかる世界史

第四章　イスラームの歴史・神・法

第五章　カリフ制

あとがき





購入後、「積読」状態で一読もせず保管しておりました。とてもきれいです。



お値引きは致しかねますので、ご了承ください。