大君の使節 - 幕末日本人の西欧体験

芳賀徹

中公新書　1968 初版


「西洋世界の挑戦に対してこの国が発した返答」の鮮やかなモデル・ケースとして、幕末日本のエリートの西欧文明に対するさまざまの知的・心理的・感性的反応と外国側の彼らに対する反響を探り出し、一八六二年の遣欧使節団の行動を評価し直す。従来、外交史家にしか顧みられなかった使節一行の諸記録は、ここに初めて興味深い記録文学としての姿を現わす。新文明に接して急激に自己変革を迫られる幕末日本の鼓動を伝える、比較文学徒の労作。



目次

はじめに

I　「夷狄の国」へ

　品川沖出帆―「鎖国を担いで」

　竹内使節派遣の背景と意図

　使節団首脳の人選

II　「大英帝国という連鎖の環」をたどる

　イギリス領香港の明暗

　国際政治の狭間をゆく

　ものの見方―市川と福沢

　カイロにて―その壮麗と悲惨

III　第二帝政下のフランスを見る

　ナポレオン三世拝謁

　「ナポレオン伝説」の重み

IV　外交交渉と学習の日々

　開市開港延期交渉の渋滞

　オールコックの活躍

　通訳の能力ー森山・立・福沢

　「寄書生」　レオン・ド・ロニー

　「日本詩人」福沢と松木

　参事官柴田貞太郎の苦夷

V　随員福沢諭吉をめぐって

　「科学者」日本人

　洋学トリオー福沢・松木・箕作

　福沢のロンドン便り

　情熱の書『西洋事情』

VI　優雅な旅路

　踊子の接吻

　ロンドンの万国博ー「日本趣味ジャポニスム」

　ゴーチエ嬢とのめぐりあい

　「中華は胡に及ばず」

　オランダの晩春

　ベルリンの夏の夜まつり

　竹内使節団のプロシア観ー岩倉使節団と比較して

VII　大君の使節の悲哀

　「ネワ河の秋色愛すべし」

　難航するカラット境界問題

　現実主義派と理想主義

　クロンシュタット軍港を見る

　祖国不穏の報ーふたたびのパリ

　秋深いリスボア

　イベリア外交の研究

VIII　動乱の祖国へ

　江戸帰着ー「憂苦憤癒」のうちに

IX　大君の使節の文化的意義

1968年の本で経年の汚れが見られますが中はきれいです。

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