「麦死なず」石坂洋次郎　新潮文庫
昭和51年3月初版
定価：¥ 260（税別、発売当時）
希少絶版新潮文庫です。
既に全冊品切れとなっている石坂洋次郎さんの絶版文庫本の中でも特に希少な一冊です。
カバー背に若干の色褪せ、天・小口・地に経年ヤケ（褐色化）があります。しかし、特に傷・汚れは無く、50年近く前のものとしては良好な状態ではないかと思います。

昭和の初期、知識人たちを捉えた左翼運動がはらんだ問題性を、私生活に密着した姿勢で批判し、著者の作家的地位を確立した代表作。
地方の教師五十嵐の妻アキは、まき起った共産主義運動にかぶれ、夫と三人の子供を残し、愛人の党員作家を追って上京してしまう。生活を破壊されながらも、赤子のような妻に対して毅然たる態度がとれず、思想と愛欲のあいだで翻弄される五十嵐。昭和の初期、知識人たちを捉えた左翼運動がはらんだ問題性を、私生活に密着した姿勢で批判、著者の作家的地位を確立した代表作である。

著者について
青森県弘前市代官町生まれ。慶應義塾大学国文科卒。『若い人』で文壇に登場。戦後は新聞小説に活躍。『青い山脈』をはじめとする青春物で、国民的な人気を博し、数多くの作品が映像化された。