陶芸家、美術家の伊藤公象は1932年石川県の彫金の家に生まれる。十代の頃に九谷焼の窯元に弟子入りし修行を重ねる。しかし、ほどなくして陶工芸という伝統世界を離れ、人の作為をできるだけ抑えるような独自の造形世界の模索を始める。使用する素材を土に絞り込むようになった1972年、妻である造形作家、伊藤知香とともに茨城県笠間市に居を構え、「美術工房桑土舎」(現・伊藤アトリエ)を設立し、1974年には栃木県立美術館の北関東美術展に「多軟面体ブロック」を出品。柔らかな陶土を糸でスライスし、即興的に手でやわらげ、有機的なフォルムをそのままに高温で焼くという技法はこれまでの陶工芸とは一線を画し大きな反響を呼ぶ。以後1978年にはインド・トリエンナーレに日本代表として参加し、ゴールドメダルを受賞、1984年のヴェネツィア・ビエンナーレにおいては無数の陶のパーツを床面に敷き詰める斬新な展示で注目を浴びる。これを機に彼の活躍の場は一挙に世界へと広がり、現代美術の作家として国際的に高い評価を得ている。

本書は2009年に茨城県陶芸美術館と東京都現代美術館で開催された個展に合わせて出版されたカタログ。伊藤公象の初期作品から新作までを紹介する内容。

出版社 publisher：美術館連絡協議会/The Japan Association of Art Museums
刊行年 year：2009
ページ数 pages：146
サイズ size：H155×W225mm
フォーマット format：ハードカバー/hardcover
言語 language：和文/英文-Japanese/English