杉本苑子



残り香



この物語は、涼しい梅の匂いの中で始まり、悲しく潔い男の匂いの中に終わる。

主人公の新三郎は、ほのかな恋心を寄せるお浜に匂い袋を贈る。

しかし、ある運命的な事件が二人を裂き、新三郎は盗賊にまで身を落としてしまう。さて、その事件とは何か。そして、二人は再会がかなうのか。残り香のある古びた匂い袋だけが二人を結びつける。

この作品は、歴史小説の女流第一人者、杉本苑子円熟期の古くて新しい佳品である。



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