アントン・ブルックナー
交響曲第7番、第8番
カール・ベーム指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音：ウィーン、ムジークフェラインザール、1976年2月、9月(7番)

ベームが晩年に遺した素晴らしい遺産。
ドイツグラモフォン社には7番と8番を録音しました。英国Deccaには3番と4番の素晴らしいレコードがあります。

日本人評論家にはあまり知られていないせいか、それほど評価されていませんが、ベームはブルックナー指揮者としても定評がありました。SPレコード時代にはシュターツカペレ・ドレスデンと4番、5番を改訂版でなく早くもハース版で録音しています。
この7番と8番もデモーニッシュ、深遠静謐な名演です。
ベームは沢山のライヴ録音を残しています。ライヴでのブルックナーは速いテンポと仮借ないダイナミクスで一気呵成の進軍を聴かせる凝縮力の際立つ名演奏です。一方、スタジオで録音したブルックナーは、遅いテンポの広々と拡がり行く雄大な演奏になっています。
遅いテンポで歌い抜かれるメロディ、厚みあるハーモニー、底の底まで踏み締められるリズム、堅固な造形、私にはベームのブルックナーは、理想的な演奏の典型にさえ感じられます。
クナッパーツブッシュ、シューリヒト、マタチッチら最高の個性派ブルックナー指揮者と伍しているとさえ評したいところであります。

このセットは、ジャケット箱と帯に経年劣化の跡が見られますが、本体のレコードそのものは、ほとんど未使用。黒いツヤも美しい新品同様の逸品です。
外箱がいくらキレイでも、レコード本体がキズだらけでは、商品としては価値がないのです。
このセットは、自信を持ってお薦め致します。