メンデルスゾーン

①序曲『フィンガルの洞窟』

②劇付随音楽『真夏の夜の夢』抜粋



指揮：オットー・クレンペラー

フィルハーモニア管弦楽団

録音：1960年1月、2月

　ステレオ（アナログ／セッション）



クレンペラーの個性が花開いた極上の『真夏の夜の夢』です。クレンペラーの演奏するメンデルスゾーンは他の作曲家の作品に対する解釈同様、実に個性的でありながらロマンティック。構築性に富んだ世界観に基づく演奏は、音楽そのものの質すらも引き上げてしまうような印象を与えてくれます。



音楽評論家：宇野功芳氏

「クレンペラー盤がベスト・ワンである。いったいクレンペラーという指揮者は、超の字がつくまじめな音楽家で、遅いテンポによるドイツ風のスタイルから、情熱を内燃させたクールな演奏が聴こえてくる。それを僕な≪情熱の氷づけ≫とよびたいのだが、微笑みは皆無であり、メンデルスゾーンのような作曲家にはいちばん向かないはずなのだ。ところが『スコットランド』と『真夏の夜の夢』だけは十八番で、他のいかなる指揮者も及ばないものがある。ここでは悠然たるテンポデ、曲のすみずみまで神経を通わせ、重厚かつ緻密に仕上げており、なによりも音楽的な充実感が最高だ。」



風格のある実に素晴らしい名演。まず『フィンガルの洞窟』は、その雄渾なスケール感に圧倒される。ゆったりとしたインテンポで、特に何かをしているわけではないが、その深沈たる内容の濃さは、他のいかなる名演を凌駕する至高のレベルに達している。『真夏の夜の夢』には、同じく名演としてプレヴィン盤があるが、プレヴィン盤は、聴かせどころのツボを心得た演出の巧さが光った名演であった。ところが、クレンペラーには、そのような聴き手へのサービス精神は皆無だが、堂々たるインテンポで、自らの解釈を披露するのみであるが、その演奏の味の濃さと言ったら、筆舌には尽くしがたいものがある。ゆったり進行から、メンデルスゾーンがスコアに記した音符のすべてが音化され、音楽に内在する魅力が前面に打ち出されてくるのが素晴らしい。木管楽器の活かし方など、出色のものがあり、クレンペラーの数ある名演の中でも、トップの座を争う出来と言える。



国内盤、帯無し、プラケースすれあり 12

盤面微すれありますが再生問題無し



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