学術専門書籍出版社「雄山閣」刊行の本です。



今日では、7巻ぞろいは個人の所蔵では少ないと思います。





私は、長らく教育研究、教育研究に携わってきました。いじめ問題は1980年代のいじめ自殺事件の多発によって社会問題として広く注目されるようになりました。





学校の時間・空間のなかで自分の場所が見つからず…追い詰められて怯えて「自死」を選んだ子どもがいます。あるいは疎外感から「引きこもり・不登校」になってしまった人がいます。不幸で悲惨な現実は時代の影のように今も身近に観ることがあります。





いつも「何がそうさせるのか」と考えてきました。





学び、思考し…私が行き当たった先は「差別の問題」でした。





1986年、「雄山閣刊行」を知りすぐに全集を揃えました。





こちらの本から、私は多くを学び、そうして触発されました。





異質なものへ対する恐れ、嫌悪、侮蔑、嫌悪という感情が受け身なために先入態度になり、そのまま反省することもなく惰性が続くと…やがて頑固な偏見態度になるということ。





迷信や格言などが日常的に再生産されながら「差別句」が生まれていく。





その背後で働くものは何でしょうか？





「上見て暮らすな下見て暮らせ」と教え、人並であるためには、“はみだす”ことの怖れ醸成して面従腹背になりなさいと教え…横一列の「和」を尊んで「長いものにはまかれろ」と抑圧する。





長野県に暮らしていた15歳の尾山奈々さんが「花を飾ってくださるのなら」という遺書を残して自死してしまいましたが（『小さなテツガクシャたち』新曜社に詳しい）、この日本という国は痛ましい告発から何も学ばなかったようです。





徳目主義的なスローガンのように「共生」が謳われても世の中は変わりえないと思います。



こちらの本は、是非とも教育者、教育関係者に読んでいただきたいと思います。





・1巻　「部落Ⅱ」　　

一番ケ瀬康子　磯村英一　　原田伴彦





・2巻　「部落Ⅰ」　　磯村英一





・3巻　「女性」　　

一番ケ瀬康子　　塩沢 美代子　　中嶌 邦　





・4巻　「民族」　　

原田伴彦　　姜 在彦　





・5巻　「身心障害者」　

一番ケ瀬康子　　小島 蓉子　

津曲 裕次　





・6巻　「底辺 社会」

　磯村英一　　内田雄造





・7巻　　高齢者

磯村英一　　三浦文夫