《稀少本》
新しき「楽」茶碗　炎芸術 139
見て・買って・作って・陶芸を楽しむ
定価: ￥ 2000+税

✦楽の名碗長次郎と光悦
✦近代数寄者の楽茶碗
　川喜田半泥子、山田山庵、
　出口王仁三郎
✦現代作家による自由な楽茶碗
　杉本玄覚貞光、安食ひろ、大前 悟、
　アンドシュ・プローデル、
✦柳下季器の楽茶碗成形
✦細川護光の楽茶碗焼成
✦染織 大髙美由紀
✦時代でたどる日本の陶芸 江戸時代2
黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部美濃の茶陶 展
✦陶芸用語辞典ハンドブック
✦"HONOHO GEIJUTSU" English
他


「楽茶碗」は桃山時代に茶人・千利休の意を受けて、楽家初代・長次郎が黒と赤の茶碗を制作したことに始まる。楽家では一子相伝で引き継がれ、今なお三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)の茶の湯において、最も格の高い茶碗とされている。
……。
さらに現代は、長次郎と本阿弥光悦を改めて見つめ直し、それらの名品を「写し」取ることで、本質に迫ろうとする作家たちが現れ始めた。彼らは自身の表現の対象として楽茶碗を選択し、楽の自由な表現を追い求め、中にはまったく新しい楽茶碗を生み出す作家もいる。
本特集では、……。始まりにして究極の楽茶碗を生み出した長次郎と自由な精神を持った光悦から近代数寄者や宗教家、そして現代作家まで、楽茶碗の展開を紹介する。
〈新しき「楽」茶碗　より〉

楽焼とは、今から約400年前の桃山時代に、茶人・千利休が長次郎に作らせた「茶の湯」のための茶碗である。
……。
豊臣秀吉が覇権を握った絢爛豪華な時代に、それとは真逆の「侘び茶」に適うものとして生まれ、「侘び茶」の美学を最も濃厚に表しているのが長次郎の楽茶碗だと言われている。
それゆえ、後世の作り手や鑑賞者が楽茶碗を考えるとき、長次郎が基準となる。
一方、江戸時代前期に活躍した本阿弥光悦は、書や漆工など美術工芸全般にわたり、非凡な才を見せた。
利休の理念を追求した長次郎とは異なり、光悦は自己の自由な表現を見せている。光悦に憧れる近代数寄者や現代作家は多いが、それは寡黙な「静」の長次郎の茶碗に対し、「動」の光悦の茶碗は作り手として感情移入しやすいからだろう。
長次郎と光悦。全くタイプが異なるにも関わらず、この二人は我々を魅了してやまない。
〈楽の名碗―長次郎と光悦　より〉


美品