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維新以後の新国家のグランドデザインを描く壮大な物語。1-6巻までをまとめて提供します。

　維新後薩長土肥のメンバーからなる太政官政権を敷いていた明治政府であるが、参議最長老であり、維新の立役者であった西郷隆盛がぶち上げた征韓論を巡ってまず問題が噴出します。征韓論は国内にくすぶる旧武士階級のうっ憤を海外に向け、さらにロシアの南下政策を迎え撃つ一石二鳥の妙手でしたが、肝腎の予算不足と海軍の不備がネックとなって結局ギリギリのところで勅許が得られません。この妨害工作に暗躍したのがまだ小物であった伊藤博文。もともとは竹馬の友であった西郷と大久保利通も、西郷下野をきっかけに袂を分かつこととなります。

　さて薩摩の中で圧倒的人気と指導力を持っていた西郷が、征韓論をつぶされたことで下野します。板垣退助、木戸孝允が去った後は大久保一人が先制政権同様の体をなしていた。ビスマルクに傾倒する大久保は強い指導力を発揮するものの、全国の不平をかこつ旧士族たちは、憤懣を募らせ反乱の不穏が広がります。それまでその中心が薩摩出身者であった陸軍（近衛兵）の半数も下野、警察は大打撃を受け、近代国家への改革と藩閥政治に不満持つ士族・人民も全国に満ち溢れて国内の治安は悪化します。そして岩倉具視への襲撃・暗殺未遂事件が生じるのでした。岩倉・大久保政治は国内的には強硬、対外的には弱腰、となれば世論は収まりません。新国家ができまだまだ形が定まらず、天皇制や軍部警察機構も混沌。大混乱の国内はいよいよ佐賀の乱、これによって江藤を失ったうえ、征出兵へと、対清（中国）との国際問題へと脆弱な太政官新政権は混迷の度合いを深めます。