昔経験したお話です。
【石に宿る物】

みなさんは石にまつわる怖いお話をご存知ですか？
神域の石や山の石、水場の石を持ち帰ってはならない…
なんて有名なお話ですよね

その怖い物を食べてしまい、閉じ込めてしまう人のお話です

その人は単純な話、食べてしまうんです
石を小さく砕き 飲み込むことで石霊を取り込むと仰っていました

石に宿る者は幽霊とか疫病とかではなくて
人や獣の感情が凝り固まった単調なものとの事でした

獣で言えば強い飢えや異性を求める心
人は特に強い情動が宿りやすく、祈る上で不安や悔いといった
肩の荷を降ろすと共に石に移るということです

何年経とうとそれは消えることはなく、拾った者にまた移ります
濃い液体から薄い液体に混ざる浸透圧のようなものですね
均一に汚れが広がるだけで綺麗になることはありません

祟られて病気になるような物は
得てして身投げした人の感情とか、遠い昔の戦の物だとか
消えることはないのです。それはただの感情の汚れの塊で
触れれば混ざるだけの単純なものです
神も仏も霊もありません。善悪も何も無い心を侵すただの毒物です

綺麗な感情もあるにはあるとのことですが、それはごく僅かな物だと

その人は呑み下し、収めることで綺麗にする事ができるそうです。
食べることで完全に取り込み、感情を煮溶かすのだと

神仏に仕え続け精神を強く固めた者にしか出来ない
石神様に頂いた石霊を移し、身体を綺麗にすると
女性や不慣れな者が同じことをすれば、逆流して発狂するか
送りすぎて空っぽの心になってしまうと

御神体には貔貅 ヒキュウという霊獣を型取り
御体に饕餮文トウテツモンを刻むとのことです。

貔貅は宝物が好物なのですが、とある方を怒らせてしまった事で
お尻の穴を閉じられてしまったお茶目な霊獣です

人の神様や仏様では受け入れられないほどの物を食らうのは
獣だけだと

あくまでも閉じ込めるだけであって、移したものは消えることはなく
一時の応急処置に過ぎない

それでも呑み下し、沈め、送り。鎮め続ける
触れてしまった生き物に障りを、狂わせないための…俺はろ過器なのだ

海にまで流れ出た石は砂となり
影響を及ぼすような強さになる事はない
砕いて小さくして呑み下して、川に流して還していくと

きっと放射性廃棄物のように誰かがやらなければならないのでしょうね