四天王寺、難波宮、豊臣秀吉の大阪城など歴史的な史跡を残す大阪上町台地の旧家で所蔵されていた『双龍鳳文』の貴重な大皿です

大皿に描かれた『絵と紋』には威厳があり、更に表面に「草・木・花・人・自然の風景」を描かない画風は極めて異例なので30年程前に購入しました

とくに伝説の霊獣・神獣『鳳凰と龍』の組み合わせは天下泰平や繁栄、権威を示す＂最高の吉祥＂として特権階級の人々に珍重されました

お屋敷での大規模な宴では大皿が慶ばれましたので、大名・公家への献上品・贈答品かと思います

【鳳凰】
鳳凰は『瑞祥と吉祥・平和の象徴』で、円を描く長い尾羽が独創的です

【阿吽の双龍・雲龍図】
万物の初めと終わりを示す『あ・うん』の双龍図で、仁王像・狛犬と同じく邪気を祓う意がございます

特筆すべきは、『龍の尻尾の先』まで繊細かつ丁寧な描画は＂極めて稀＂で、龍への造詣が深く、洞察力に優れた絵師による筆致に疑う余地はございません

更に龍の胴体を画面から切り離し、皿の湾曲面を曲がりくねらせることで躍動感を高めた構図は斬新です

安土桃山から江戸初期の絵師・海北友松が描いた建仁寺の方丈襖絵「雲龍図」と同様に阿吽の双龍・雲龍図で、容貌が似ております

意匠が凝らされた花のような＂雲＂の白い縁取りは墨弾きだと思います

【右二つ巴紋・隅立て稲妻紋】
両紋の歴史は大変古く、日本では社寺の神紋・寺紋、公家・武家の家紋としても歴史ある紋です

巴紋に描かれた＂丸紋⚪︎・＂は希少な紋様で、全体のつながりに始まりと終わりがない事から＂無限＂を示す吉祥文様です

巴紋と稲妻紋は厄除けでもあり、「鳳凰と龍、巴紋と稲妻紋」は不思議にも「反時計回り」です

双龍を隠す「六つの紋」の配置は示唆に富む構図で、三つの巴紋と三つの稲妻紋を結ぶ三角形（△▽）を重ね合せると魔除けの籠目紋、六芒星をも予見させます

輪花縁は淡青色で彩られ、裏面に目立つ目跡一箇所の痕跡は『器の美』を求めた証です

大明成化年製を「太」と記した太明成化年製は古伊万里にも多く、当時は作者や窯元がわかる銘は殆ど入っておらず中国磁器の模倣が始まりです

筆跡は無造作な模倣ではなく丁寧で、「大明」と記さなかった窯元の威厳、絵付師の尊厳を感じます

今世の良きご縁を心より願っております

W約50×H約6.5 #古伊万里　#豊臣秀吉
#骨董 #古美術