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はぶらし

36歳、脚本家の鈴音はひとり暮らし。そんな彼女に高校時代の同級生・水絵から10年ぶりに連絡があり、「息子とともにハローワークで仕事が見つかるまで１週間だけ居候させてほしい」と申し出てきます。話を聞くと夫のDVが原因で離婚した上にリストラされて途方に暮れているとのこと。

厄介とわかりつつ、同情してたった1週間ならばと親子の居候を受け入れた鈴音です。最初、水絵は鈴音に対し低姿勢に過ぎるような態度を示しますが段々と、厚かましい様子を見せるようになり、子供が熱発したりなかなか仕事が見つからなかったりでずるずるとマンションに居座ります。

鈴音の踏ん切りの悪さにいらいらし、水絵のあつかましさに憤慨させられつつ次はどんな不幸が襲ってくるのかと読者はページを捲る手が止まりません。人の好意に胡坐をかく悪女・水絵の最終兵器は、子供の押し付けでした。

　どんどん個人の生活を侵略する水絵のしたたかさに拍手です。



スーツケーズの半分は

物語の発端はアラサーの真美がフリーマーケットで青いスーツケースに一目ぼれし、３０００円で購入。そもそも旅に出たことがない彼女がスーツケースを相棒に憧れのニューヨークへ一人旅へ出かけますが、ラッキーの連続でいい旅行をしたということ。

第二話は真美の友人のOL花恵の物語。そんなに裕福でもないのに非現実を味わいたくて定期的に香港で高級ホテルに泊まっている彼女は、今回自分のスーツケースが壊れたために幸運のスーツケースを借りて香港へ出かけます。そこであり得ない出会いをして幸福をつかむのでした。

第３話も真美の友人ゆり香がスーツケースを借りて、彼氏と中東旅行する話です。この旅行で結局彼氏とは別れますが、やはりいい出会いもあって…こうして幸運の青いスーツケースの霊験というか威力を紹介した後に、そもそもフリマに出品された子のスーツケースの来歴について紹介されます。