片桐洋一
『小野小町追跡』
笠間書院
発行：改訂新版1993年（初版1975年）
定価：1800円
ISBN：4-305-60031-5

小野小町の和歌を中心に、その生涯や伝説を学術的に考察し、その成果を一般にわかりやすく解説した本です。

［画像2, 3, 4］
背が焼けています。天井に汚れがあります。

［画像12］
百人一首の歌ももちろん詳しく研究されています。

［画像13］
- ネタバレ注意 -
夢の歌三首の解釈が秀逸です。
「思ひつつ寝ればや人の見えつらぬ夢と知りせばさめざらましを」
「うたたねに恋ひしき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき」
恋しい人を思うと夢にまで見ます。うたたね程度でも夢になるのは、恋の成就が近いに違いない。
「いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣をかへしてぞ着る」
今度は、恋しい人の夢の中に入ってゆきます。パジャマを裏返しに着ることの魔法が、万葉集によって例証されています。

ちなみに
「背も腹も蚤に食はれて痒ければ夜の衣をかへしてぞ着る」
という天明狂歌の状態にあったかどうかの解説はありません。