ミャンマー産の三面磨きの黒翡翠原石です。
翡翠はそこ字の如く、翡(朱)と翠(緑)を表す事で、カワセミの色を例えた玉です。玉は中国では宝物であり、それに様々な彫刻を施して大切にされて来ました。古代からその宝物は伝えられて来ましたが、以前はネフライトをもって玉とされて来ました。
しかし、ビルマ(今のミャンマー)で18世紀に新しい玉が発見され、美しい緑を示し、彫刻にも適していたことから珍重されて来ました。以前の玉よりも硬かった事もあり、軟玉と硬玉とされました。
硬玉はジェダイト(Jadeite)といい、厳密には翡翠輝石(NaAlSi2O6)のことを表します。しかし、この翡翠輝石は成分により近縁の輝石と固溶体を成し、また元素により色が現れます。クロムが入ると緑になり、鉄やチタンが入るとラベンダーや青になります。
黒翡翠は非常に珍しい色で、カーボン(炭素)によって色が付くとされていますが、カーボン以外でも黒が現れます。クロムが多くなると緑が濃くなり、黒に近い深い緑になります。これはコスモクロア輝石(NaCr3+Si2O6)となり翡翠以上に珍重される事もあります。また、鉄も多くなるとエジリン輝石(NaFe3+Si2O6)になり、黒くなります。
この黒翡翠はカーボンの黒ではなく鉄分による黒である可能性が高いです。またオンファス輝石((Ca,Na)(Mg,Fe2+,Al,Fe3+)Si2O6)の可能性も有ります。詳しくは元素を分析しなくては確定はできませんが、ズシッとした重量感や質感から翡翠と言って間違え無いと思います。
これだけの大きさの黒翡翠は滅多に出回る事もなく、勾玉等の加工品も多く取れると思います。

110.5×93.8×90.6mm 1391g

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