江戸料理をつくる
料理/福田浩

1991年初版
株式会社教育社
定価2900円
22.4×22.6cm159ページ

江戸時代の料理書は、変体仮名まじりの崩し字で読みにくく、たとえ読むことができても、今度は独特な料理用語やその言い回しに悩まされ、そのうえ、材料や調味料の分量も定かでなく、つくり方の説明も大まかである、といったら、懇切丁寧な現代の料理書やテレビの料理番組を見馴れている人は、ちょっと面喰らうかもしれません。
しかし、本来料理というものは、五感を通して口から口へ、手から手へと伝えられてきたもので、当時の人々にすれば、飯の炊きよう、だしの取り方、味噌汁のつくり方、焼物や煮物の火加減など、それこそ日常茶飯のことですから、わかりきっていることは書かない、というのは当然でありましょう。また、料理のコツも筆だけではうまく伝えきれないものがあります。書き記せばなんでもわかる、というものではないでしょう。料理書の行間や余白にこそ、真の料理法が潜んでいるようです。それを引き出すのは、読む人の豊かな創造力です。
『料理物語』に、うどんのゆで加減は「食ってみるがよい」と、まるで禅問答のような文章がありますが、まさにこれ以上の名解答はないでしょう。料理もまた「つくってみるがよい」という以外にはないのです。
本書の料理は、料理に興味をもった若い人たちに選んでもらった品々です。江戸時代の料理でも、今の食卓に映えるモダンな面があることに気づかれると思いますが、往時の雰囲気、時代の気分といったものを感じていただければ幸いです。
（あとがきより抜粋）

［状態］経年の割にきれいに保存してあります。料理写真が多く載せられています♪
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